こんにちは。コンサルタントの岡村宗一郎 (Soichiro Okamura)です。今回、アメリカのタンパで開催されているSummit 2016に参加しています(10月11日~14日の4日間。イベントサイト:http://www.axugsummit.com/)。このSummit 2016はDynamics Communitiesによって企画&運営されてるイベントで、Dynamics製品であるAX、NAV(GPも)、CRM、PowerBIのユーザーが一同に集まる大規模なイベントです。Dynamicsユーザーが集まり、Dynamicsユーザー同士で、Dynamicsに関する経験や課題、そして、技術情報を共有する場になっています。今年は7000名が一同に集うという大規模なイベントになりました。
この記事では初日に行われたKeynoteの様子をご紹介します。
Dynamics Communitiesの成長
まず、Dynamics CommunitiesのCEOであるAndy Hafer氏がステージに上がり、各ユーザーグループのリーダーを紹介し、コミュニティのネットワークが全世界に広がり、また、年々コミュニティへの参加人数が増えていることを強調していました。ビジネスアプリケーションの軸であるAX、NAV、CRMだけでなく、PowerBIのコミュニティも大きくなってきており、Dynamics製品、Microsoftのクラウドサービスの活用が日々進んでいることが伺えます。
Microsoft mission
次に、Scott Guthrie氏(Microsoft Executive Vice President, Microsoft Cloud and Enterprise Group)が登壇し、Microsoftのミッションを改めて掲げつつ(”Empower every person and every organization on the planet to achieve more”)、Dynamics製品と共にDigital Transformationに取り組んでいる企業が紹介されました(日本企業も!)。
そして、いよいよ、Dynamics 365の紹介です。これまでオンプレ型として提供してきたDynamics ERPとDynamics CRMをクラウドサービスとして提供するDynamics 365は来る11月1日にローンチされると発表がありました。このKEYNOTEはユーザー向けということもあり、特にERPとCRMが如何にシームレスに連動しているか、操作できるか、という部分に焦点を当ててプレゼンが行われました。また、現行のオンプレ型をDynamics 365に移行しましょう、とERPユーザーにアピールしていました。
ちなみに、Dynamics 365は以下2つのエディションがあります。
Dynamics CRM Plus Dynamics AX
= Dynamics365ForOperation
= Dynamics365-Enterprise Edition
Dynamics CRM Plus Dynamics NAV
= Dynamics365ForFinancial (Project Madeira)
= Dynamics365-Business Edition
Dynamics 365のポイント
Scott氏からは上記以外に、Dynamics 365の強みとして以下のポイントを列挙しています。
- Purpose-built
- Productive
- Intelligent
- Adaptable
Purpose-built for you and your business
次世代型のBusiness Apps in the cloudとして単に売上規模の拡大という観点だけでなく、企業そのものの発展、そして、transformを支える新しい機能群を個々の企業特性に合わせて提供することができるERPとCRM融合型のサービスであると謳っています。
これまでオンプレ型のDynamics製品であっても、ERPとCRMの連携機能は既に提供されてきましたが、導入の都度、連携設定を行う必要がありました。何より、ユーザーは2つのシステムを使い分ける必要がありました。しかし、Dynamics 365は一つのクラウドサービスとして、Dynamics CRMでカバーされるマーケティング、営業支援、そして、フィールドサービスなどと言った保守業務と、Dynacmis ERPとしてカバーする会計、SCMが一つのプラットフォームで完結する世界になっています。
Productive
ProductiveはDynamics製品を語る際、欠かせない重要なキーワードです。上記同様、オンプレ型であっても、Office 365との連携機能も既に提供されていましたが、Office 365上で行われる個人作業とDynamics 365上で行われるビジネスプロセスがよりシームレスに連動します。また、クロスプラットフォーム化も更に進んでおり、Dynamics 365用のアプリも新たにリリースされます(iOS、Android、Windows Phone)。
Intelligent
Dynamics 365はもちろんAzureで運用される訳ですが、ビッグデータとの連動も目玉になっています。実際のデモでは、Office 365で運用しているOutlook Onlineから、メールの中身を自動判定して、関連する見積書などのドキュメントへのリンク(Dynamics 365の伝票データ)が出現する機能を見ることができました。そして、PowerBIとの連携も組み込まれています。役割に応じた(パーソナライズされた)分析ダッシュボードが活用できます。
Adaptable
最後にAdaptableですが、Dynamics製品(もはやサービスと呼ぶべきかもしれません。)に対し初めて使われたキーワードです。Azureで稼働するDynamics 365はCommon Data Modelによって、Power AppsやMicrosoft Flowとの連動を実現しています。Common Data ModelがERPやCRMのデータベースと同期し、また、一方で、Power AppsやMicrosoft Flowからコーディングレスでアクセスすることが可能になっています。個人的にはこのAdaptableがDynamics 365のコアソリューションだと感じました。今まで、ERPやCRMのプラットフォームで過剰にカスタマイズしていた機能は、Common Data ModelとPower Apps、Microsoft Flowによって代替可能だと思います。
Summit 2016のKeynoteを通じて改めて感じたのは、ユーザー視点で必要とされる機能、サービスを突き詰めると、Dyanmics 365とOffice 365、そして、その他たくさんのクラウドサービスが必然的に誕生した、ということです。ユーザーはユーザー自身でソリューションを活用するスキームを構築する必要があると感じました。一方、我々パートナーとしては、個々の企業に対し、最適なソリューションの組み合わせを提案する経験やスキルが問われていると感じました。