Microsoft Ignite 2021-Dynamics365まわりの新機能-

5 3月

皆様、おはようございます! 室長こと、吉島良平(Microsoft MVP for Business ApplicationsMicrosoft Regional Director)です。お元気ですか?室長は、今週クライアントの月次決算や、自社の月次決算に加え、IT Pro向けの大規模イベントであるMicrosoft Igniteが、日本時間の深夜から朝にかけて開催中で、寝不足な感じです。当然ながら日本時間で通常業務もあるため、コロナの弊害を身近に体感しています。

本日はイベントの2日目なのですが、既に”ちょーお腹いっぱい”な感じです。一番大きな発表でいくと、Microsoft Meshでしょうかね。多くの参加者から今年のIgniteのオープニングは、史上最高の出来だというフィードバックが出ていました。個人的には、IT Pro向け?と感じるくらい斬新なオープニングでした。

本Blogでは、室長の勝手な解釈を交えて、Micosoft Igniteで発表のあったMicrosoft Dynamics 365の最新情報を中心に備忘録としておきたいと思います。

冒頭CEOのサティアナデラ氏から5つの大切なTOPICのお話がありました。

そして、”Microsoft Mesh”について

のっけから、ポケモンが出てきたり、ダイオウイカが出てきたり、えーっと、自分は何を見せられているのか?というくらい驚きのコンテンツがオープニングからゾロソロと(-_-;)

アレックス氏と、そのとりまきは天才集団ですね。

次に驚いたニュースは、Windows10ユーザー向けにPower Automate Desktopを無償提供!でした。

マーケットシェアの大きいOSをもっている会社にこれをやられると、正直競合他社はきついですね。あとは時間の問題でしょうかね。

無償ダウンロード←是非ご活用ください。

Igniteの直前に発表されたExcel関数がベースになっている新たなローコード(Power Appsのキャンバスアプリで利用している言語)Power Fxにも、「えっ?」となりました。(製品リリースはまだ先のようです)ローコードブームは、IT業界が抱える人材不足や、マーケットニーズをとらえているので、今後益々拡大していくでしょうね。きっと10年後は”みんなが開発者”になっているはず。

あと目立っていたのは、Micosoft Teamsですかね。スパ太郎さんことJared Spataro氏がいつものように饒舌にコラボレーションツールのメリットを語っていらっしゃいましたが、コロナ禍で月間アクティブユーザー数が1.5億人といっていたような気がします。機能も充実してきました。そのうちOutlookを超えるフロントエンジンに変わっていくのでしょうか。個人的には、”ブレイクアウトルーム”を活用して、プロジェクトや会議をリモートで円滑に進めていく仕組みの整備をしていきたいと考えています。

Micosoft Ignite全体では、いろいろな発表がありすぎて、室長の手に負えないので、他の領域は、他のMVP/RDにお任せするとして、ここからは本業のDynamics 365のパートを振り返っていきたいと思います。

トップバッターがジェームズやアリサ氏ではなかったのが意外でしたが、D365のエンジニアリングチームのリーダーであるMuhammad氏からですね。先週、あるクリティカルな課題にぶちあたって、室長もRegional Directorの一人として、マイクロソフト本社のシニアリーダーグループへ意見を求めたのですが、彼がこの課題をタイムリーに製品TOPにエスカレしてくれたので、この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います(笑) ありがとうございました。

冒頭彼が語っていた内容で、「まさに!」と自分も感じたのが、”ビジネスアプリケーションが抜本的に見直され、トランスフォームされてきた”ということでした。現場の最前線では、リアクティブからプロアクティブな対応が求められるようになってきていて、何かのアクションをとる前に、データが先に集まり、それをAIが解析して、次に何をするべきか指南するということが必要になってきている。まさに「デジタルフィードバックループ」です。今、3回シリーズのセミナー

「Microsoft 365・Microsoft Azure・Power Platformユーザー必見! ワンプラットフォームで効率的なテレワークを実現しよう」

の中でもお伝えしている内容です。

「Part1」「Part2」は終了していますが、3/19には、「Part3」もありますので、こちらにも是非ご参加いただければ幸いです。

また、モハメド氏がここで言ったことを自分の解釈で要約しますと、

最近のCRMは、単に顧客との関係性を追跡するアプリケーションから、顧客にとって価値の高い、楽しい体験を奏でるもの、例えば、顧客が注文して、商品が届く前後において、顧客が抱える不満を読み取り、問題が発生する前に、事を未然に防ぐようなソリューションへ進化してきています。

これに合わせてSCM領域も、「柔軟性」「機敏性」「リアルタイム性」「顧客中心」といったキーワードを満たさないといけなくなってきました。「商品」の管理や、配送をメインに考えるのではなく、常に「顧客」を中心に物事を考える必要があります。

これらが競合他社との差別化に必要な、顧客体験という新しいルールだと考えており、それを可能にするのが、フロントオフィスとバックオフィスをシームレスに繋ぐDynamics 365であり、ローコードソリューションであるPower Platformが、顧客の実業務と、システムの間の垣根を取っ払います。

以外にもMicosoft Azure, Microsoft 365, LinkedInといったマイクロソフトのクラウド基盤が、クライアントのビジネス環境を近代化し、AIがシステムをリードすることへの体験を得られます。

この体験を更に素晴らしいものにするための新たなサービスを2つ紹介します。ということで、1つめとして、Dynamics 365マーケティングに、AIが高度にパーソナライズされた、イベントドリブン型の顧客体験を創り出す新たな機能を追加しました!

「Customer Jouney Orchestration」

2つめは、ルールやポリシーを設定しながら、多くの異なるチャネルからくる注文を、もっとも効果的な方法で、顧客の納期や希望を満たす、AI機能が搭載された機能を追加しました!

「Intelligent Order Management」

ここでLori Lamkin氏(D365MのCPV)から新サービスの説明。

Dynamics 365 Marketingの推しはAIですね。

顧客とのタッチポイントのあらゆるところで、AI機能が活躍できるようになっています。

オランダのUnicefの事例。

パーティー会場にQRコードを貼ったポスターを掲載し、Unicefアンバサダーにコンタクトできるようにしている。

過去に寄付をしたことのある人(Lars氏)、ない人(Nina氏)で異なるマーケティングアプローチをとるような設定をしている。

ここは、カスタマーインサイトの機能を利用していますね。個々の寄付者とのエンゲージメントデータを確認できます。寄付を行っている方々を高い割合で特定することができます。

Lars氏とNina氏へのアプローチをここで分岐させている。

Lars氏の場合

広告を見せることによる寄付への誘導

カスタマーインサイト+D365Mの仕組み。フォローアップの電話ですね。

Nina氏の場合は、過去に寄付をしたことがないので、アプリ-チを変え、VoiceメッセージでNina氏が何に興味があるのかを知るために調査を行うような仕組みを実装している。

AIを使って、どのチャネルが一番彼女にリーチできるか検討。アンケートの記入が終わると、メールで彼女が一番興味のありそうな内容が届く仕組みになっている。

Nina氏がウェブサイトに訪問してくれた後にも、閲覧状況から、興味がある内容などを中心にメールでフォローアップができるようになっている。

Publish a journeyという表現を使うんですね。

顧客体験の結果をもとに、データやAIを調整していくことができます。

リアルタイムに結果が視覚化できるので、Unicefはターゲットが体験を継続しているのか、それとも離脱したのか容易に把握することができます。

顧客体験がどのような結果だったのかということを、Unicefでは、このD365Mとカスタマーインサイトを活用して状況を即座に把握することができるようになっているのです。

Unicefオランダではマーケティング担当が、一般的なマーケティング以上のことをシステムを活用し実現しています。

以上が「Customer Jouney Orchestration」+「D365 Marketing」+「D365 Customer Insights」を活用したUnicefオランダにおけるケーススタディのご紹介でした。「D365 Marketing」+「D365 Customer Insights」のUnicefの事例PVがありましたので共有しておきます。

これはいいですねー。マーケティング担当の方々は是非個々の顧客体験を実現するツールとしてご検討くださいますと幸いです。

次はHP社における事例PVが流れました。

マーケティング、セールス、サービス機能の連携活用メリット

次はデジタルマーケティングの代理店として有名なVMLY&Rにおける活用事例

CEOのDavid氏からの製品に対するフィードバックがありました。

当社のような複数チャネル・複数オーディエンス管理を行うにはデータが不可欠です。「Customer Jouney Orchestration」+「D365 Marketing」を組み合わせることで、顧客体験をベースとしたマーケティング手法を確立することができ、当社にとってベストなソフトウェアデザインが可能となっています。顧客が享受できる価値や、当社が顧客へ提供できる価値向上に役立っています。この度の「Customer Jouney Orchestration」リリースを心より歓迎いたします。

結果として柔軟性を欠いた、適合しにくいサプライチェーンマネージメントは、フロントオフィスのトランスフォーメーションにとって大きなハンディキャップになります。価値のある顧客体験を提供するためには、注文を充足するオーケストレーション体験(美しい連携のこと?)が不可欠になります。

約2/3の顧客は、ここ数年で50%のデジタルコマースからの売上を期待しているようです。一方で50%の会社では、成長していくデジタルコマースのニーズへの準備ができていないというレポートがあります。

このような状況であるため、新たな製品を市場に投入することにしました。「Intelligent Order Management」といいます。

例えば流通小売業においては、いろいろなチャネルから、様々なタイプのオーダーが入ってきます。

そのような注文に対して、倉庫出庫、店舗販売、直送取引などの方法でデリバリーがなされ、トラック、バイク、ロッカー受取、小包など多くの配達パターンがあります。

Dynamics 365 Intelligent Order Managementは、このオーダーから配送までのエンジンとして活用することができます。このエンジンはPower Platform上に構築されています。200以上の利用できるコネクタを用意しています。あらゆるビジネスユーザーが即座にオーダーを取得できるエコシステムとなっています。エンジンは柔軟にオプティマイズ可能なルールベースのシステムになっており、リアルタイムな在庫管理を実現します。AIや機械学習などのマイクロソフトのクラウドメリットを享受することができるのです。

ここからはMatt氏の登場ですね。ちょっとふっくらした感じ。仲間♡

ログイン画面はこのような感じのダッシュボードです。チャネル別のオーダーや失注したオーダーなどの情報を確認することができます。

どのように新たなチャネルをつくるのか?どのようにIntelligent Order Managementを設定するのか説明していきますね。左のメニューから、Getting Startedを選択します。次にManage Order Intake Connectorsを選択します。

この画面では、既に存在しているコネクターを確認することができます。ここではContosoオーダーコネクターを使って、Contosoからの注文への対応をしていきましょう。

最初にURL/API Keyを入力してクルデンシャルを有効化することでコネクトすることができます。

次は、Action/Eventsの設定です。D365IOMはイベントドリブン型のソリューションです。つまり、それぞれをパーソナライズして顧客体験を確立することができるのです。業務ユーザーレベルで設定の変更が柔軟にできることもメリットです。

それではオーダーオーケストレーションが如何に簡単に設定できるか一緒に見ていきましょう。左のメニューからFlowsを選択します。

ここで実際のオーダープロセスを定義することができます。オーダーのでデータチェックに失敗した場合(左側)にはメールで通知をすることができます。成功した場合(右側)はこのような設定をおこなうことでプロセスを定義することができます。

共通の問題として、多くのソースデータから注文が入ってくるため、各々のチャネルから得たデータチェックが限定的になってしまうことが多いですよね。オーダーには最小注文数量の管理や、当然ながら出荷するには在庫数量のチェックも必要です。当然ながら一方通行ではなく双方向でデータ連携が発生する。このような要件にも簡単にオーケストラ設定が(なんて表現なんだ?!)可能です。最小注文数量の設定なども、下記のようにパラメーター定義することができるのです。

冒頭、イベントダッシュボードの説明の際に、オーダーへ対応するためには、現在の課題を特定する必要があることを説明しました。例えば、住所が特定できないと距離やコストの試算ができませんね。その場合は配送についての課題を定義します。では次はどのように設定を行うかをご説明させてください。まずはOrchestrasion stepをクリックします。右側のTypeにてAddress Validationを選択します。事前定義設定を活用して、アクションを選択することができます。

Address Validationを選択すると、右側にアクションの選択リストが出てきます。

商品に傷などの問題があって、注文への再配送などをしないといけない場合もあるでしょう。そのような場合は、まずFulfillmentを選択します。価値のあるインサイトをダッシュボードから、今や将来にとるべきアクションをダイナミックに把握することができます。

「Intelligent Order Management」のPVも共有しておきますね。

Enterprise Archetecture and Digital DTC & ProgramsのVPであるJeff氏が、業務において、Intelligent Order Managementが如何に重要な機能を果たしているかということについて説明。

「Dynamics 365 Intelligent Order Management」「Dynamics 365 Customer Jouney Orchestration」のPrivate Previewにご協力いただいた企業の皆様ありがとうございました。

最後は、参加してほしいセッションのご紹介。

Round Tableも用意していますので必要に応じてご活用ください。

冒頭申し上げましたように、ビジネスアプリケーションは根本的なところから変わってきています。リアクティブからプロアクティブへ、アクションファーストから、データを活用したAIが導くインサイト(洞察)ファーストへ。これらを実現していくことが、我々Dynamics 365のエンジニアリングチームのあるべきミッションだと考えています。

↓以下も是非ご覧ください。

Micosoft IgniteにおけるDynamics 365に関する発表内容

Elevating the end-to-end customer experience with Dynamics 365

次はDynaimics 365 とMicrosoft Teamsの連携に関するセッション

Microsoft Teams + Dynamics 365: The unified collaboration platform for modern business

沼本さん、CMOになられてたんですね。日本人でMicosoftのCommercial CMOってすごい。CMO自らによる「Dynamics 365+Teams」のセッション。久しぶりに感動してしまった。。。

以降は、スライドをペタペタ、ハリハリしておきますね。

TeamsとDynamicsの連携は、更に拡張されていきそうですね。このセッションの中で発表があったのですが、「M365のE3とE5をお持ちのクライアント様は、Dynamics365のMarketing機能を6か月無料で利用できるキャンペーン」が出てくるらしいです。日本もこのキャンペーンが適用されるのであれば、D365Sales(CRM)をお使いの皆様は、この機会に是非チャレンジいただけるといいのではないかと思います。CMO自らが、Dynaimics 365 + Teams活用の利便性を訴求するシーンは少し感動しました。沼本さーん(≧∇≦)

今回のMicosoft Igniteでは、Microsoft 365, Microsoft Azure, Dynamics 365, Power Platform, Windows, Microsoft Meshなど、いつも以上に多くの最新情報の発信があり、室長は頭がパンクしそうです。Microsoft Mesh、Windows 10ユーザーへのPower Automate Desktopの無償提供には正直びっくりしました。

イベント内では、コロナ禍における重要なコミュニケーションのHubの機能を果たしているMicrosoft Teamsに関する拡張領域の露出もかなり多めでした。

Dynamics 365に新たに加わった「Customer Jouney Orchestration」「Intelligent Order Management」は、「サイロ化されたアプリケーション群から大量発生する、バラバラ殺データ事件」に遭遇しない仕組みとして、もっとも大切なパトロール領域の一つといえるでしょう。現場で変革が求められているところに、ピンポイントに、”ごっついソリューションを刺してきた”という印象を持ちました。いやぁ、最近のマイクロソフト、半端ないっす。こりゃ、またキャッチが大変だ(笑)

マイクロソフトがビジネススイートのDynamics 365とコラボツールTeamsを緊密に統合

以上、簡単ではありますが、Micosoft IgniteのDynamics 365まわりの備忘録としておきます。

あ、そういえば。4月にDynamics 365 Business CentralのBootcampを知人たちが企画・運営するようです。1000名までは無料で申し込めるようなので、ご興味がある方は、おはやめに♪

今回のMicosoft Igniteで新たに発表された内容も、3/19(金)の16時半-18時に開催するセミナー

<全3回シリーズセミナーPart3> Microsoft 365・Microsoft Azure・Power Platformユーザー必見! ワンプラットフォームで効率的なテレワークを実現しよう

にて、マイクロソフトのDynamicsレジェンドのお二人、鈴井さん(ERP担当)と曽我さん(CRM担当)と、ご一緒させていただくパネルディスカッション

Dynamics座談会」

で、少しはふれていきたいと思います。楽しみにしておいてくださいね。申し込みが未だの方は、→こちら

そして、Part3にご参加してくださる方で、残念ながらPart1Part2を見逃してしまった方は、3/19(金)-16時30分-18時00分-当日までに、下記をご覧いただけると、当日の理解度が高まると思います。(注意:本編はとても長いので、「コーヒーやビールでも飲みながら、ダラダラとながら見」してくださいね)

Part1 Blog→https://bit.ly/DynamicsBizAppsBlog_2021-01-22

Part2 Blog→https://bit.ly/DynamicsBizAppsBlog_2021-02-19

それでは今日はこのくらいで!Let’s Go Mooooore Dynamics plus Power Platform!!!