Directions EMEA 2018 参加報告

1 11月

日本の皆様、こんにちは。 Dynamics特派員、室長こと吉島良平(Microsoft MVP for Business Applications )です。皆様、おかわりありませんでしょうか?日本では、当社Pacific Business Consulting, Inc.のセミナーが、日本マイクロソフト株式会社(品川)にて開催されています。前回もBlogで少しご紹介させていただきましたが、

What’s Dynamics 365 Business Central ~196ヵ国22万社の導入実績を誇るマイクロソフトのSMB向けクラウドERPとは~

Dynamics365 Business Centralの日本初御披露目イベントです。ひょっとしたら会場にきてくださった方が、このブログを読んでくださっているかもしれませんね。11月1日は、是非多くの情報をお持ち帰りいただければと思います。
D365BusinessCentral-Item List

さて、室長は10月29日-10月31日にオランダのデン・ハーグで開催されているDirections EMEA 2018という欧州最大のDynamics365 Business Central (通称D365BC/旧称Dynamics NAV or Navision)に関するパートナー会に参加していました。実は本日31日夕刻にイベントを終え、既にオランダの首都アムステルダムまで帰ってきています。昨年度の春にSummit EMEAでアムステルダムに来たので、今回の出張は約1年半ぶりのオランダという事になります。

皆さん、オランダと聞くと?風車とチューリップやミッフィーを思い浮かべる方が多いかもしれんませんが、僕の印象は断然、”自転車”です。こちらは先ほど戻ってきたアムステルダム中央駅で撮影したものですが、数秒の間に沢山の自転車が通り過ぎていくのがわかるかと思います。

デン・ハーグはアムステルダム・ロッテルダムに続くオランダ第三の都市で、国会議事堂をはじめとする政府機関や多くの大使館が集まっており、ロイヤルシティと称されるオランダの政治の中心地です。アムステルダムは商業の中心で、中国でいうところの北京がデン・ハーグ、上海がアムステルダムという位置づけです。アムステルダム中央駅から50分、スキポール空港から約30分ほどの距離にあります。

Den Hague

デン・ハーグは、南ホランド州に所属し、人口50万人ほどの都市なのですが、実際には首都機能がここにあるようなイメージです。私と同世代の方々は、ハーグ=国際司法裁判所があるところ。という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうかね。

国際司法裁判所(平和宮)

さて、Direction NA (北米版パートナーコミュニティー)が先日開催されました。オープニングキーノートのコンテンツは95%がDirections NAと同じものでしたので、大部分を割愛させていただきます。

よって、まずは→こちら←をご覧いただければと思います。

初日の雰囲気ですが、65ヵ国から2300人が一同に会するとこんな感じになります。

オープニング会場の雰囲気

去年は人気拠点であるスペインマドリード開催で、2150名の参加だったので、今年はデン・ハーグだから参加者数が減るのではないかと個人的に危惧していたのですが、オランダ・ベルギー・ドイツという大きなコミュニティーがあるエリアからは出向きやすい地域らしく、昨年度を100名以上上回る参加者があり、会場は熱気に包まれていました。

オープニングキーノート(29日-30日)のコンテンツで、Directions NAと異なる点は、北米ではオンプレGPのデータを、D365BCに同期して、オンプレGPの中にD365BCの画面を表示したり、D365BCに埋め込んだPowerBIでデータの可視化に関するデモをやっていましたが、欧州ではGPの導入実績があまりないことから、このパートは削除されていました。また、Chad Sogge氏に代わり、Errol Schoenfish氏がOffice365連携などを担当されていました。

当社がリリースしたD365BCの簡易日本語版(Essential Version)に関しても、オープニングでリリースに関してご紹介いただきました。(PBCのR&Dの皆様、おめでとう!引き続き宜しくお願い致します。)
デモがうまくいかず、Marko氏も大変残念がっていましたが、C/AL→ALへのコンバートデモが用意されていたようです。ここでは、パートナーの皆さんのソリューションを簡単にクラウドに持っていくことができるようになったことを見せたかったのでしょうね。デモはプロジェクト同様に”生き物”ですから、うまくいかず、難しい局面もありますが、間髪入れずうまく対応していくところはさすが場慣れしているなと感心してしまいました。流石Marko氏ですね。

3日目はMarko氏とDirections EMEAの実行委員長であるChristian氏がDynamics領域の第一線で活躍する異なる職種の方々をお迎えしてパネルディスカッションが行われました。

異なる職種の方々のコメントは斬新で、面白い切り口のTopicが沢山でてきていました。

来年の開催は、Directions Asia/ Directions NA/Directions EMEAそれぞれ、

と開催地と時期が発表されました。

という事で、今回はこのあたりで、、、なわけないですよね。Dynamicsな活動がそんな簡単に許していただけるわけないですからね。

Dynamics CRM/ERP(NAV/AX)の業種別ソリューションに関しては、弊職が日本人として、一番情報をもっているでしょうから、今回はちょっと視点を変えて、スポンサーの皆様のブースをざっとご紹介していきたいと思います。スポンサーですから、ISVと言われる業種別ソリューションベンダーが多いのですが、一部のベンダーは当社と同様にグローバルロールアウトを強みとしています。ざーっとななめ読みしていただけると幸いです。

当社が日本のローカライズを手掛けているガントチャートを開発している会社です。製造、修理、プロジェクト領域の見える化に強みをもつISVです。

Click Dimensionsはダイナミックに業務フローをつくれるソリューションで、マーケティング領域に強みを持ちます。
Dynamics User Communityもブースを出していますね。以前はNAV User Groupという名称で活動をされていました。
こちらはDynamics eShopというソリューションを出しています。展示会場には5つくらいのEDI/E-Commerce製品がありました。E-Commerce領域が伸びていくのは見えていますからね。
  こちらはクラウドホスティングベンダーで欧州の雄といわれるSaaSPlazaですね。
++myPartnerはリテール業界に強いパートナーです。
Ameda Dynamicsは、EQM/レンタル業界のソリューションを開発しているISVです。
tinX-tinはこちらもE-Commerceに強みをもつISVです。
Scaptaは、コネクター押しのISVベンダーですね。
LS Retailブースですね。カーステン(サンタクロース)がVサインしてくれてます。Dynamics365 Financial & Operations (通称D365FO)にもリテール業界向けソリューションがありますが、もともとはこの会社がつくった.NET POS・バックオフィス関係のソリューションをマイクロソフトが買収したものです。LS Retailは、アイスランドの古豪Dynamicsベンダーです。D365BCにおいても、同様のリテールソリューションをもっています。当社はここの日本総代理店のようなポジションで、日本市場に本ソリューションを展開しています。
SimovaはDMS(ドキュメントマネージメントシステム)を売りにしているISVです。
e-Conは、プロダクトコンフィギュレーターに強みをもつISVです。
qucambaはRDLCレポートを簡単に開発できるツールをリリースしている会社です。
Go 2 Latainは特に南米企業のローカライズを開発しているパートナーです。
AccentSoftwareはドラッグアンドドロップで簡単にドキュメント管理ができたり、物流業務のソリューションにたけています。
SMARTCONNECTは、会社名の通りで、コネクターを開発しているISVです。
Binary Streamは、ファイナンスや保険業界、不動産業界に強いISVです。D TechDataは、クラウドソリューションベンダーですね。
Dassault Systèmesは製造計画などのプランナー向けのソリューションに強みをもつベンダーです。
こちらもE-Commerceに強みをもつISV、
EDIに強いGolden EDI、
DIMO Maintはその名のとおり、メンテナンス業界に強いソリューションを開発しているベンダーです。idynはマージツールなど開発者向けに非常にいいソリューションを提供しています。
Comsolは、SMBマーケットに強みをもち、計画系を得意とするベンダーです。
NAVEKSAはCADとの連携を強みとするベンダーです。
PAGEROは請求の自動化をはじめとるすオートメーション化に力をいれているパートナーです。
COSMO CONSULTは、マイクロソフト製品全般に強みをもつベンダーです。
Mobile NAVはモバイルソリューションに強みをもつハンガリーのベンダーです。
NAVIPARTNERはPOSやチケットシステムに強みをもつベンダーです。
ANVEOは、モバイルアプリ、ウェブ/EDIに強みをもつベンダーです。3日目のキーノートに登場していました。
JET GLOBALは先日までJetReportsという法人名で活動していました。当社が日本の代理店をやっているBI/ExcelアドインレポートでDynamicsの世界ではメジャーなパートナーです。JetEnterpriseのBIコネクターにはCDataのコネクターを活用しています。多くのNAVユーザーに利用されています。
Easy Securityはその名のとおり、D365BCのセキュリティーを定義/設定できるソリューションです。多くのNAVユーザーに利用されています。当社でもローカライズをして市場に提供をしています。社長のPer氏は元MVPです。
Perflionはクラウド基盤に強みをもつベンダーです。
CKLは多岐にわたるソリューションをもっていますが、弊職が気に入っているのは棚卸評価計算の設定を間違えた場合に、それを過去にさかのぼって訂正する機能をリリースしているところです。
QBSは欧州拠点で成長著しいDynamicsベンダーです。多くの拠点をカバーできるのが特徴です。
NavSherpaはSharePointとの連携ソリューションを開発しているベンダーです。
agiles workflowはワークフローソリューションを開発している企業です。また食品の流通におけるコンサルティングも得意としています。社長のChristian氏がDirections EMEAの実行委員長です。
simplanovaは開発の委託を得意とするバルト三国にある企業です。
Continiaは経費精算やドキュメント管理などのソリューションをパッケージ化するのが得意なベンダーです。
Click Learnはマニュアルなどの自動作成に強みをもつベンダーです。
ArrowはIoTや、デジタル化に強みをもつベンダーです。
sana-commerceは、E-Commerceに特化したISVです。

今年のGold Sponsorは、3社。Directions NA同様、マイクロソフトのキーノートに先立ち、20分ほどのデモ/サービス紹介がありました。秋に名前をかえたJet Global、

Jet Global(Goergeプレゼンうまい!)
Jet Global

レポート/帳票開発を用意にするForNAV(ここには、もともとNavisionのC/SIDEという開発環境をつくった張本人がCTOとして勤務)、

ForNAV

Navision時代のセールス/技術のTOPが出てきてプレゼンするシーンは懐かしさ満載でした。

ForNAV

そして3日目はanveoでした。

anveo

パートナーと事例も交えて、

anveo

他にも、組立製造、プロセス製造、リーン製造、医薬製薬業界、化学メーカー、ディーラーマネージメントシステムなどの業種別ソリューションを開発しているパートナーが本当に沢山あります。それらは、また別の機会にご紹介できればと思っています。是非、春のDirections Asiaにも多くのISVの皆様には来てほしいですね。

当社.では、お客様のニーズに合わせて適切なISVソリューションをご提案させていただいております。これからの時代はスクラッチでサービス・製品をつくる時代ではありません。マイクロソフトのエコシステムの集合体であるDynamics365シリーズには多くの機能やそれぞれの国特有の商習慣(ローカライゼーション)、そして、それぞれのパートナーが注力している業種・業態別のソリューション/サービスが存在しています。これらをうまく組み合わせて、時間をかけずシステムを構築し、業務効率をあげる、コストを削減するは勿論のこと、ITを売上を成長させる武器としてシステム/サービスの内製化をすることが事業会社には必達の課題になりつつあります。(このあたり、来週のASOCIOでご紹介させていただきます。)

自分自身は、今回3つのキーノート、11個のセッションと3つのワークショップに参加しましたが、

Office365連携
Dynamics365 for Sales 連携
LinkedInの活用
Dynamics365 for Talent
AI/Digital Transformation

上記のセッションが印象に強く残りました。

Office365連携では、特にOutlookの中で受発注業務が完結してしまうところが非常に使い勝手含めて営業事務の皆様には朗報かと。

Office365連携

ご参考までに、Dynamics NAV Team Blogを共有しておきます。

Extending the Outlook Add-in Experience in Microsoft Dynamics 365 Business Central and Microsoft Dynamics NAV

Dynamics365 for Salesとの連携では、データの不一致を解決するために必要な情報の確認、修正のスピードを圧倒的に改善できる改良が入ってきています。システム間の同期をとるためのスケジューラー機能も充実してきました。

あとは、ERP/FO⇔CRM⇔ERP/BCのオペレーションフローが同一となるようにMicrosoft R&Dチームに改善を継続的にR&Dチームに依頼していきたいと思っています。

D365S連携

Dynamics365 for Talentのセッションでは、デモンストレーションシナリオ、CDM/CDS、Power Platformの考え方について、非常にいい学び/インプットがありました。もう少し検証して、追って皆様に共有させていただきます。

D365 for Talent

AI/Digital Transfromatioのセッションでは、データ戦略とAIについて解説がありました。

DXについて

具体的には、販売予測を出すもので、過去売上実績があるもの、新商品の場合などで、機械学習を活用したD365BCの考え方について解説がありました。

販売予測

マイクロソフトから、”AIはDynamics側で提案数値を出せるようにするから、パートナーの皆様は正しくユーザーに利用をしてもらうために日々ご研鑽ください”という説明がありました。アプリケーション側に集中させてもらえるのは大変ありがたいですね。確かにDynamics365においても、秋のアップデートからAI機能が標準搭載されてきました。ユーザー側ではベンダーとFine&Tuneして使える機能が標準でこれから更に沢山出てくるでしょうから、Dynamics365を是非”デジタルビジネスの勝者となるビジネスITインフラ”としてご選択いただきたいですね。

LinkedInは、D365 for Sales / D365 for Marketing/ D365 for Talentと合わせて活用することで、面白いデモンストレーションが沢山できそうです。LinkedInの達人といわれる方が出てきて、どのように活用すべきなのか?というセッションを担当されていました。LinkedInは、最近あまり更新できていないので、時間をつくって業務経歴情報を整理/更新したいと思っています。

”Meet Your MVP”では、参加者への質問にチームでお応えしていきましたが、データ戦略、設計、ライセンスなど内容は多岐にわたり、我々MVPにとっても、非常に有意義な場になったと思います。

Dynamics365 MVPの仲間たちと

一方で、こちらライセンスに関するセッションは雰囲気が最悪でした。。。アントニオ氏は頑張っていらっしゃいましたが、、、。パートナーとマイクロソフトで意見に大きな乖離があります。余りにも大きな今回のライセンスの考え方に関する突然の変更は、ユーザー/パートナー納得できるものではないので、引き続き私も他のMVPとともにマイクロソフトへ訴求していかなくてはならない状況です。当然ながら、我々は開発元/パートナーの枠組みを超えて、クライアントの皆様のために仕事をしているので、ご納得いただける説明をしなくてはなりませんね。また、互いに培ってきたこれまでの信頼関係もありますので、本課題に関しては最後まで真摯に向き合っていくつもりです。(現段階では2019年度3月末がNAV2018バージョンを購入できる最終期限です。)

最後に、2008年からスタートしたDirections EMEAは今回で11年目。コミュニティーがマーケットの創出にどれだけ大切なのか、改めて感じました。ラッキーなことに、製品/サービスの成長に合わせ、100人程度のイベントが2300人まで成長する過程をも体感できました。

来年はビエナ/オーストリア開催。毎回移動は心がおれそうになるけど、Dynamicsな活動の中で、数えきれないほどの沢山の友人が出来ました。Dynamicsのグローバルネットワークはかけがえのない財産です。自分も成長してコミュニティにもっと恩返しなきゃだな、そう感じた出張になりました。これからも、軸足をぶらさず、日々反省と感謝を忘れずに、Dynamicsに頑張っていこうと思います。

さて、来週はTech SummitでDynamics365BCのハンズオンを当社のほうで担当致します。

TechSummit2018

DAY2 -11月6日 水曜 10:50~11:40
PR62 Dynamics 365 Business Central ハンズオンセッション

DAY3- 11月7日 水曜 10:50~11:40
PR63 Dynamics 365 Business Central ハンズオンセッション(リピート)

ASOCIOでは、弊職のほうで関電グループの人間として、1セッションを担当する予定ですので、お時間の在る方は是非ご参加いただければ幸いです。

現代のCIOに求められるデータ戦略とその実装方法/如何にして「働き方改革」「デジタルトランスフォーメーション」を実現するか?~クラウド・AI・ビジネスアプリケーションの民主化へ~

それでは、本日はこのあたりで。明日はオランダのDynamicsパートナーを数社訪問します。

Let’s Go Moooore Dynamics !

—番外編–

ユニクロのウルトラジャケットもっていかなかったら耐えられなかっただろうくらい寒かった。
3日間ともに、朝一番にラテを入れてくれたおねーさん、ありーがーと。

どこの国にもw

この黄色のユニフォームを着ている方々は、リース管理ソリューションで有名な企業にお勤めです。個人的にもリース会計について彼らとは、会うたびにお話をします。

3日目が終わり次第デン・ハーグに移動し、4日目はアムステルダムの古豪ベンダーを数社まわり、昨日オープンしたというアムステルダムのマイクロソフトオフィスを訪問してきました。

MS_Amsterdam

夜はアムステルダムにいる知人の社長たちと

アムステルダムでの夜を少しだけ楽しめました。次は3月末にSummit EMEAでこちらにくることになるかと思います。

こちらでお世話になった皆様、ありがとうございました!Special Thanks to Peter de Bruin !