Business Application Summit – Dynamics 365 Finance and Supply Chain 編

24 5月

皆さん、こんばんは。室長こと、吉島良平(Microsoft MVP for Business Applications)です。今週は、Microsoft Buildという開発者向けのイベントが、こちらもまたオンラインで開催されていましたため、日本にいながらの時差ボケ継続中です。

沢山の新情報が出ているので、ウェブ媒体でも結構とりあげられています。まだオンデマンドでも視聴できますし、#MSBuild で検索されると、SNSから生情報が取れます。Dynamics 365に関しては、残念ながら、細かい話は、ほぼなく、その代わりにPower Platform関係が充実していたようです。

諸々の数値情報をおさえたい方は、Microsoft のCEO Satya Nadella 氏のオープニングを確認されるといいかと思います。テクニカルバックグラウンドのあるCEOは破壊力満点ですね(笑)

イマジンカップという学生が企画・実装したイノベーションを称えるアワードがありまして、東京大学のチームが2位でした。声を失った方に、声を届けるという素敵なソリューション英語でプレゼンも頑張って、室長も感動しました。あー、若いって本当に素晴らしい!(羨ましい)

 

さて、僕はテレワークになって、2ヵ月とちょっとですが、テレワークをされていらっしゃる皆さんは、生産性はあがりましたでしょうか? Yahooでは下記のようなデータが掲載されていました。

個人的には、生産性は変わらず、逆に学べる時間ができたので、正直助かっているというのが本音です。というのは、2020 Wave1という春のメジャーアップデートが、Dynamics 365にあって、プロジェクトを担当しながら、新しい事を学ぶというのは、毎回かなりきついからです。テレワークであえば、5時に寝ようが、6時に寝ようが、10時前にPC前に座って日々の仕事を真剣にこなせばいいわけですから、時間に余裕はうまれたというのが実感です。

さて先日、ある評価機関にてリリースされたERP Data Quadrantの結果に対して、LinkedInで、Finance & Supply Chain(旧AX|Finance and Operations)はLeaderだけど、Business Central(旧NAV)がどこにもないじゃないかとつぶやいたら、何故か、ぷちバズリしました。両製品に19年も携わっているので、ついにここまできたかという嬉しさと、なんでやねんという残念さですね。いろいろ調べると、単にBusiness Centralはリリースから2年で、ユーザーからのフィードバックが少なかったから表記がなかったとのことでした。Business Centralは、Finance & Supply ChainとOracle NetSuiteの間に、プロットされると個人的に確信しています。Business Centralのアップデート情報に、ご興味のある皆様は、↠前回のBlog↞をご覧いただければと思います。

当社はDynamicsPACTという世界最大規模のDynamics 365 Finance and Supply Chainグローバルコンソーシアムの日本代表を担っています。コンソーシアムの代表も、ビジネスアプリケーションサミットを振り返っていますので、共有しておきます。

まずは、キーノート的なセッションから。

Accelerating digital transformation with Dynamics 365 Operations Applications

製品TOPであるMuhammad Alam(General Manager responsible for the Operations (ERP) applications in Dynamics 365)氏は、以前はGMだったので、昇格されたのですね。肩書が、Vice Presidentになっていました。この人は頭むっちゃキレる人ですね。

継続的な成長という事で、数値情報から。昨対比80%成長。One Version、つまりは99%が一つのバージョンでコントロールされている。これこそSaaSであることの意味だと思うので、素晴らしいと思います。Kyribaやicimsとの協業成果についても触れていました。

コロナ禍における対応について。

ビジネスアプリケーションサミットの基調講演(Blog)同様の説明。クライアントへReactiveから、よりProactiveに対応するために。Finance & Supply Chainは、Power PlatformDynamics 365 Insight ( Dynamics 365 Customer Insights)と連携活用することで、あらゆるビジネスプロセスへの対応が可能となる。ビジネスの川上から川下までのオペレーションや、ありとあらゆるデータを、一元管理、利用することのできる無二の業務システム。

まずは製造業領域の最近の拡張領域である、HoloLensを活用したDynamics 365 Guides、IoTを活用したConnected Manufacturing、資産保全について。

続いてサプライチェーン領域。通販用にE-Commerce機能、クレジットカードの支払いに対するFraud Protection、小売業向けのConnected Store、マスタープラン実行の速度やタイミングを改善するためのPlanning Optimizationなどのお話。

顧客の支払状況から回収率や入金のタイミング、そしてキャッシュフローを予測するFinance Insights、新たにリリースされる予定のプロジェクト管理ソリューションであるProject and Operations、人事系ソリューションの福利厚生、有給休暇などの対応。

基幹システム内の機能も、かなり拡充されてきたという感じで、後の課題は、きちんと導入できるパートナーの育成と、各国のローカライゼーションの充実、ISV-AppSourceの充実度といったところでしょうか。

ここで、Laurel Reitman (General Manager for Dynamics 365 Human Resources)の登場。皆さん自宅からの参加ですね。彼女、どこかでみたことあるなと思ったら、DocSignのグローバルマーケティングやられていた方ですね。マイクロソフトに移ったんですね。Teams Appを使ってデモンストレーションが始まりました。

有給休暇を取得するための申請をあげる。

どれだけ、お休みが取れるかを確認

1週間のお休み期間がデフォルトで提案されますが、

火曜日と金曜日を選択。

申請されたことを確認。

Dynamics 365 Human Resource 側でも情報が更新されたことを確認。

過去取得したお休みと、残りの有給休暇などをPower BIで確認。

いやー。シンプルで、わかりやすくていい!Teamsを何時間も使っていると、出退勤もこれでいいと思う。欲をいうと、何のタスクに、どのくらい時間使ったか、Office 365 のMyAnalyticsが自動で拾ってくれたら、クライアントに提出するサービスレポート作成の手間がなくなり、週報分析も楽になりますね。今度リリースされるProject Operationsに連携してほしいですね。更にPower BIをHRに埋め込んで、より詳細な活動の履歴や貢献度が見れると、もっとサービスがマーケットに浸透しますね。

ユーザー事例のお話。

このビジネスアプリケーションサミットの推奨セッションのご紹介。

最後はQ&A。いつものように、相方のShelly氏がファシリテート。

COVID-19の取り組みで、計画通り新機能がリリースされるか(→予定通り)、オンプレミスからクラウドへの切り替えの必要性(デジタルトランスフォーメーションのメリット大)、投資領域について(→データを活用したAI領域、他のMS製品との連携、特にApps関係)、Project Operationsのリリース時期(→6月にPrivate Preview、秋にリリース)、将来的には全てのマイクロソフト製品が連携して利用できるようになるのか?(→エコhシステムの実現に向けて努力している)

HRモジュールに対する質問。LinkedInを活用して採用活動を行い、入社後は人事管理機能としてHRモジュールを利用する。給与計算機能も重要。その他人事関連のデータは他のパッケージともAPI連携させてCDSにデータを格納しエコシステムを実現する。現在協業パートナーも募集中とのこと。

サービスベースのERPソリューションとしては、ついにMicrosoft がNo1と評価されているようですね。これは非常に感慨深い。ここまでホントに長かったなぁ。

という感じで、製品の全体の流れ的なセッションは終わり。これではちょっと物足りないでしょうから、もう少し、室長なりのピックアップで、いつものように勝手な解釈で、掘り下げていきたいと思います(笑)

そうですね。↑でも推奨セッションとして取り上げられていた

Optimize your operations with the use of Dynamics 365 Guides and Dynamics 365 Supply Chain Management

を少し振り返ってみたいと思います。ご存じの方も多いと思いますが、Dynamics 365  Supply Chainのカバレージはこんな感じ。

物流のところでは、下記のような改善がありましたね。

  • ピッキングと収納機能、品質管理
  • E-Commerceなどと連携させた在庫数量管理
  • MRP/MPSの実行機能

デモシナリオのご紹介(ウェブサイトでの購入から出荷手配まで)

商品とサイズ(Dimensions)を選択、

在庫があるお店を確認し、取りに行くお店を選択。

そして支払いを行う。

倉庫モジュールでのオペレーション。

倉庫への出荷依頼の準備

倉庫への作業依頼。

実行したオペレーションが左上に確認できるところが、結構好き♡

Power BIで倉庫オペレーション負荷を確認。今のご時世、物流業の皆様はホント大変だろう。

倉庫内のエリア/ゾーンを見える化することは担当者の生産性向上に非常に重要。

次はモバイル端末を使って

出荷のオペレーション。

Work Listから自分の作業を選択、

割当られている作業を確認。

ピッキング作業で商品についているタグを読み込む。

COVID-19対策のメッセージも確認できますね。

ピッキング完了しました。

ピッキング結果を確認し、

パッキング(梱包)エリアでの確認。

コンテナIDをとって、出荷ラベル用の重量を表示。

受注伝票にもどって、右上の青くなっている連絡マークをクリック。

受注伝票に出荷ラベルが添付されていることを確認

シンプルだけど、いいデモンストレーションでした。まとめ的なもの。

次は製造に関する領域。下記のような改善がありました。

  • IoTと予知保全(デジタルツイン)
  • HoloLensの活用
  • 資産管理(固定資産、フィールドサービス、HoloLens連携)
  • 機器の効果測定

5-7時間かかっていたMRPを5分で実行できるようになったという話。

デモシナリオのご紹介(資材需要計画)

まずは、プラニングオプティマイゼーションの設定確認から、

DynPlanですね!

セットアップはウィザード形式でも

品目数、計画オーダー数、BOMレベル数などの条件入力を行う

過去の実行経験を活かせるパラメーターも用意

マスタープランをみてみましょう。

需要予測へ

Azure ML(機械学習)も使えます♡

調整された需要予測

詳細を確認

過去の需要と今回計算した需要との比較

次は安全在庫のおはなし

ミニマムQtyが5個と設定

購入先の確認

マスタープランの実行

条件フィルター設定も可能

実行中

実行完了

計画オーダーの確認。受注伝票から計画製造オーダーが作られています。

計画購買オーダーが、受注オーダーと安全在庫数量をベースにつくられています。

ペギング確認できるのがいいよねー♡

関係会社からのオーダーで計画購買オーダーがつくられてます。

今回つくられた計画製造オーダーについて、

その付帯情報をドリルダウンして確認することができます。

まとめ的なスライド

次は定期メンテナンスと保全予測

資産保全にIoTを活かそうというおはなし。

Azure IoT 、Azure Stack、Azure Databricksで、デジタルツインやっちゃおってお話。

OEE(Overall Equipment Effectiveness /「総合設備効率*」)について

*生産設備の効率を上げるために用いられる指標で、稼働率や性能や品質により算出

続いてHoloLensですね。MR(複合現実)の世界観

PowerAppsが対応していますね。Finance & Supply Chainにも連動。オフラインモードがでてくるようです。

確かに今の製造現場にはデジタルフィードバックループがない。。。。職人が抜けた穴をどううめていくのか?

ここでのデモンストレーションはIoT Intelligenceから、Dynamics 365 Guidesまで。まずは、Analysisをクリック

Power BIのダッシュボードが埋め込まれていますね。プラントとユニットを選択、

まずはMRPから。

実行中

十分な在庫があるか確認

在庫がないので補充

カタログ

Amazonサイトへ

商品を検索

カートに入れる。

購入!

まぢか!直接Finance & Supply Chainひらきにいくのか。

在庫が確保できました。

IoT Intelligenceを活用して監視

製造フロア管理について

フロアマネージャーにも有益

ノーティフィケーションを確認

製造の再計画、再生産の必要性

資産管理のモジュールから

ワークオーダーは手動でも、IoT IntelligenceからPower Automateを活用して自動作成も可能

作業をアサインされたダレン氏がやってきました。

編集を行うこともできます。

HoloLens入ってきて、複合現実な世界観が出ると、これまでの業務システムとは一線を画す感じになりますね。イノベーティブなイメージが出てきますね。

SCMのモジュールの中に、資産保全とHoloLensが入ってきたデモンストレーションは豪華、ここまででたったの23分。信じられない。。。これが、Leader ポジションと評価されるERP。すごいっすね。前半部分のデモンストレーションは本当にシンプルですが、意外と準備に時間がかかるものです。何よりストーリーと練られたシナリオが物凄くいい♡

さて次は、一気に雰囲気が変わりますが、AIを活用したファイナンス領域のセッション

How AI driven finance applications help employees make better decisions

を少し振り返ってみたいと思います。アジェンダはこんな感じ。

Finance Insightは新しいアドオン的な位置で、Dynamics 365 Finance に埋め込まれている感じですね。AIとか、自動化が経理財務部門のユーザーの生産性、ミスオペレーションを底上げしていきますね。

含まれているのは、顧客からの入金予測、キャッシュフロー予測、予算機能。

経理財務のためのAIの民主化。これ、結局は機械学習の話か。AI Builder使うのか。

ハイレベルアーキテクチャー。いたってシンプルですね。

  1. Finance & Supply Chainのトランザクションは、Azure Data LakeのCDM(Common Data Model)ホルダに格納
  2. AI Builderが、1のデータをCDMから読み取る
  3. Power AIがトレーニングモデルや結果をCDSs(Common Data Service)へ保存
  4. それらのデータをFinance & Supply Chain側へ連携

顧客の支払予測(Reactive↠Proactive)

AI Builderを使うための設定画面。支払超過を判断する日数を決めて、予測モデルを作成

80%の精度の予測モデルが完成

↑のView Predictionを押下すると、下記の画面に遷移。ここで558件の支払遅延予測のBoxをクリック

On Time Probabilityに期限内に支払われる可能性%が記載。一行目を選択し、右側の関連情報を見ると、期限内に支払われる可能性は27%、遅延する可能性は40%、もっと遅くなる(30日以上)になるのは33%の可能性であると予測。金額とロケーションと支払条件が主な理由とか。

もう少し、下のほうを見ると、顧客の支払いに関する洞察(インサイト)が確認できます。

更に下に画面をスクロールして確認すると、過去に顧客が支払った金額を規定した3つのカテゴリーに分類してくれています。

右の画面のPrediction Model Accuracy →Improve Accuracyを押下すると、AI Builderへ変遷。ここで業種や業界に評価として組み入れるべき要素があれば追加で選択、Publish(公開)します。Proactiveなプロセスで回収スピードをあげ、キャッシュフローに+の影響を与えます。

キャッシュフローの難しさについて、バラバラ殺データ事件が勃発していて、Excelで頑張っている企業が多い。やめよーよ。直接法でも、間接法でもそんなに難しくないから。

改善したキャッシュフローハブを利用すれば、先ほどのスライドに記述した3つの課題は課題を解決することができる。該当する会社を選択することもできるし(現在は全ての会社のデータを利用)、通貨を変えることもできる。

これは、機能通貨を報告通貨にするような場合かな?得意先(売掛金)、仕入先(買掛金)、銀行口座の情報が1画面で見れるのはなかなかいいですよね。

月次の現金有高について。主に契約残の情報をもとに作成している。

キャッシュフローだから当然だけど、下のほうにPre-Payment、Budget、Other Externalのようなものも含んでいるんだね。

外部のデータも追加、修正できるんだね。

外部データを取り込む場合は、Excelがダウンロードされてくるので、それをに追加/修正を行いDynamics 365 Financeに再公開する。

次は、長期のキャッシュフロー予測については、先日付の受発注伝票がないですよね。でも、そこも銀行残高の傾向から予測を作成し、サポートします。また分析コード(Dimensions)を考慮してキャッシュフロー予測を行う事も可能です。

New Snapshot機能が追加されました。右側の青いSnapshotボタンを押下します。

確かに、コロナ禍の影響で過去のデータから傾向分析だけしてもだめだわ。

このデータをExcelに出して加工し、保存してシュミレーションすることができます。

Snapshotの履歴も確認できます。

楽観的なSnapshotと悲観的なSnapshotを作成しておいて乖離を確認することもできます。

あー、これは大事。シュミレーションの基本。

Compare with Actual、Compare with Snapshotのボタンがあるので、実際のキャッシュフローと比較するのも簡単です。

ブルーが実際の銀行残高で、グリーンが悲観的なキャッシュフロー予測の場合

実はこの機能は、既に4月にPrivate Previewされていて、調査検証に参加しているベンダーもあります。5-6月にはPublic Preview(バージョン10.0.12)となってユーザー側でも使い勝手を確認することができます。実際に本番環境で利用できるのは10月で、確か10.0.13というバージョンからだと思います。消込作業って意外と手間なんですよね。銀行勘定調整にAIを入れたら企業でも経理部門の作業工数が減らせますね。いっそのこと、ここまで製品が進化してきたら、銀行で入出金の相殺処理も新たなサービスとして企業に提供できそうな気がします。

最後に、以下のようなQ&Aがありましたので共有しておきます。これは追加のコストがかかりますか?→まだわかりません(笑)

Dynamics 365 Finance and Supply Chain はパワフルですね。流石、エンタープライズ企業向けERPですね。今日冒頭で少しだけでてきましたが、Dynamics 365 Commerce+Connected Storeという小売業向け機能群もあります。

また、マイクロソフトのリテールショップで培ったナレッジも入っているFraud Protectionという機能もDynamics 365 シリーズにはあります。

Dynamics 365 Finance and Supply Chainは、SaaS ERPのリーダーと評価されるだけありますね。中堅中小企業向けには、Dynamics 365 Business Centralもあるので、マイクロソフトのERPは、いよいよ最強のステージに入ったといえると思います。

Dynamics 365 には、今日ご紹介したもの以外に、CRM、Marketing、Field Serviceなどの多くのサービスが存在します。また昨今伸びに伸びているPower Platform も連携し、3密ならぬ5密(Dynamics 365 +Power Platform +Office 365 +Microsoft Azure+AppSource)状態です。必要なパーツを組み合わせて、皆様のビジネスプロセスがシンプルに且つ生産性の高いものになればいいですね。生産性向上だけでなく、新しいビジネスをITを活用して生み出してほしいですね。それができるプラットフォームをマイクロソフトは提供しています。

最後に、御社のデジタルトランスフォーメーション加速のために、是非Dynamics 365 +Power Platform をご検討いただけますと幸いです。

それでは、今日はこのくらいで。Let’s to Moooore Dynamics and  Power Platform !!